睡眠は、栄養バランスのとれた食事と同じくらい、私達の活動エネルギーを生みだす上で大切なものです。
男女ともに年を重ねると「眠る力」がだんだん低下していくもので、女性の場合は特に更年期には、ホルモンの影響もあり自律神経のバランスが崩れやすいため、交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがうまくいかなくなってしまいます。
こうなるとなかなかリラックスモードにならないので、目が冴えてしまい、不眠症になりやすくなります。
健康な体には「昼間活動して夜眠る」というリズムがあります。これが体内時計で約25時間周期でリズムを刻んでいますが、朝の太陽の光を浴びることで24時間にリセットされると言われています。
この体内時計のリズムの乱れや緊張や心配事で脳と体がリラックスできないと心地よい眠りを得ることができず、不眠症につながります。
夜、きちんと眠れないために、昼間に疲労感を感じたり、集中力がなくなったりと、体調不良を感じ日常生活に影響を及ぼしてきます。
「眠れないのはつらいけど、睡眠薬に頼るのはイヤ」という方には、漢方薬による体質改善がおすすめです。中国医学では、眠らせるより眠れる体づくりが重要と考えています。
女性に最も多いのは、質の良い「血(けつ)」が不足した「血虚(けっきょ)不眠」です。
「血(けつ)」は身体の栄養であるだけではなく、心の栄養でもあります。眠りが浅く、しょっちゅう目が覚める、寝つきが悪いなどの不眠の症状がみられます。
このタイプには「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」や「心脾顆粒(しんぴかりゅう)」などの「血(けつ)」を補う作用のある漢方薬を普段から服用し、寝る前に「酸棗仁湯錠(さんそうにんとうじょう)」を服用するのが効果的です。
入眠剤を服用している人でも、その量を減らすことが出来る場合もあります。この「血虚(けっきょ)不眠」タイプを放っておくと眠りが浅いだけでなく、だんだん眠れなくなることでイライラして、時には動機や息苦しさ、手足の火照り、のぼせなどの症状が現れます。
これは、より厄介な「陰虚(いんきょ)不眠」の状態で身体や「心(しん)」を潤す働きのある「天王補心丹(てんのうほしんたん)」などを使用します。