女性は月経の度に多量の出血をくり返します。
どうしても貧血傾向になりやすく、そのうえ更年期に入ると自律神経の乱れから血流が悪くなりやすいものです。
女性ホルモンの低下に伴い血管に変化が現れ、炎症が起きやすくなり、臓器への血流も不足して心臓の働きにも影響が出てくると血圧は不安定になりやすいものです。
血圧が変動すると内耳(耳の奥で平衡感覚をつかさどる器官)へも影響を与えるため「めまい」や「耳鳴り」などの症状が起こりやすくなります。必ずしも更年期の年代に限ったものではないのですが、女性の不定愁訴で比較的多いのがめまいです。
軽い立ちくらみや身体がふらつくようなめまい「浮動性のめまい」、立っていられないほど目が回るようなめまい「回転性のめまい」まで症状は様々です。
更年期のめまいの多くは「浮動性のめまい」です。
治療を必要とするケースは少なく、自律神経の失調による血圧の変動や貧血などのために脳血流量が一時的に減少して起こるものがほとんどです。
多少の耳鳴りは誰もが経験する一種の聴覚異常です。
例えば、ランニングの後に耳の奥で「ドクンドクン」という音がしたり、静かな環境で「キーン」というような甲高い金属音を感じることがありますが、心配することはありません。
高齢の方にみられるのは、蝉が「ジージー」と泣いているような音がいつも聞こえて会話が聞き取りにくいという訴えです。
老人性難聴の初期症状で聴覚器官の老化が原因ですが、更年期にみられる耳鳴りは自律神経失調のひとつで比較的軽いものです。
但し、急に大きな音がしたり、めまいや難聴を伴う場合は早めに耳鼻科を受診してください。
突然の回転性めまいに難聴や耳鳴り、耳閉感や吐き気を伴う場合はメニエール病が疑われます。
内耳のリンパ液が増えてむくみを生じ、聴覚や平衡感覚の機能が低下する病気です。
めまい発作は短くて数十分、長い場合は数時間続き時間が経つにつれて症状が軽くなり、やがて完全に治まります。1回限りで治まる人や何度も再発する人もいます。耳鼻科の検査や投薬療法が必要です。
耳はとても敏感です。
「血液や水分代謝が悪いと耳鳴り・めまいは容易におきる」と中医学(中国伝統医学)では昔から考えられてきました。
耳鳴りには二種類あります。
ひとつはストレスなどで気が滞り、カラダに余計な熱が溜まると「キーン」とした金属音のような大きな耳鳴りとなります。若い世代にも起こる耳鳴りで、情緒を主る「肝」の働きをスムーズにすれば改善できます。
もうひとつが「肝」と「腎」の働きが弱って水分が不足する肝腎陰虚(かんじんいんきょ)タイプ。老化に伴う機能性の減退による耳鳴りで蝉の鳴くような低い音が特徴です。この場合は杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)を使います。
血行の悪さを自覚されるのなら冠元顆粒(かんげんかりゅう)、貧血傾向の耳鳴りであれば耳鳴丸(じめいがん)を使い分けます。