自律神経の最高中枢の視床下部、その下に位置する下垂体は、排卵や月経を起こす司令塔でもあります。視床下部から命令された下垂体は卵巣への指令をFSH卵巣刺激ホルモンやLH黄体化ホルモンで送ります。
また、卵巣は成熟してきた卵胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)や排卵した後の卵胞からプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌して、脳とキャッチボールをします。
例えば、月経が2~3か月に1度の月経不順や、まだ生殖年齢なのに月経が止まってしまう方。このような場合は、視床下部・下垂体・卵巣のいずれかに原因があるのです。
過度なダイエットで月経が止まってしまったというケースは、視床下部に問題がある場合が多いようです。ダイエットをした覚えがないのに、若くして月経が来なくなってしまうケースは早発閉経と呼ばれ、卵巣に原因があります。
また、分娩時に大量出血して月経が止まってしまった場合は下垂体を疑います。不妊治療においては、高温期が短く、低い場合は黄体ホルモンを補います。
卵の成長が遅い場合はFSHと同じ成分のホルモンを使ったり、排卵を卵が成熟するまで遅らせることも可能です。
現代医学での治療は、それぞれ不足しているホルモンを補う方法です。妊娠のプロセスをサポートする点は非常に優れております。しかし体質は何も変わってないわけですので、基礎的な土台作りの対策はまだ足りないように思えます。荒れた土地に種をまいても、育ちませんよね。
漢方薬や鍼灸治療で、ホルモン療法と同じことはできません。しかし畑を耕してしっかり肥料を与えて準備をしてからという体づくりは優れているといえます。
不妊治療と漢方や鍼灸を併用されるかたが、ここ十年で急増しております。初婚年齢が上がり、晩婚晩産化がすすんでいる事が背景にあるようです。
月経が終わると子宮内膜は、大きくなってきた卵胞から分泌されるエストロゲンにより厚くなり、排卵後にはプロゲステロンも加わり子宮内膜は柔らかくなり、受精卵が着床しやすくなります。
受精卵が子宮内膜に着床しないと、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量がどんどん減ってきて子宮内膜を維持することができなくなり出血がはじまります。これが月経ですよね。要するに、月経はホルモン分泌量の変化(減少)によって起きます。
「月経があれば排卵している」と思いますか?実は、必ずしも排卵しているとは限りません。
排卵は、月経期の後の卵胞期に成熟してきた卵胞から分泌されるエストロゲンが間脳~下垂体系に200pg/ml以上2~3日続くと、LH(黄体化ホルモン)が一気に放出されて排卵が起きます。
何らかの原因で卵の育ちが悪くエストロゲンの量が不足していると、LH(黄体化ホルモン)の放出が上手くいかなくなり、排卵しないこともあります。
その時の基礎体温は高温期への体温上昇に時間が掛かったり、低温相と高温相の温度差が少ないケースが多いものです。
月経があるのに排卵していない方は、「無排卵周期症」や「黄体化無排卵症候群」が考えられます。逆に排卵があるのに月経が来ないケースは「アッシャーマン症候群(子宮内腔癒着)」の疑いが。なるべく早く婦人科を受診してください。
毎朝測る基礎体温。鍼灸治療や漢方相談では情報を収集するツールとなるため、非常に重要視しております。基礎体温からわかるものは…
意外に多くの情報が詰まっていると思いませんか?ご自分の体温の特性を知るには2~3か月の測定が必要になります。
タイミング法やAIHの治療を受けていても、毎日つけていただきたいものです。妊娠を希望される方のお悩みで、多いもののひとつが「体温」に関するものです。
体温全体が低い、排卵後の温度上昇に時間がかかる、高温期が短い、途中で下がる、などなど。漢方ではこれらの症状を「腎虚(じんきょ)」といいます。現代医学的な考え方と少し違う腎臓の腎。
血液をろ過して尿を作り出す作用のほかに、老化現象・生殖能力・骨の異常など「腎の衰え」として古来より考えられてきました。腎虚に対しての漢方処方は「補腎薬」。
中身は女性ホルモンではありませんが、卵巣機能を支えるのに大きな役割を果たしてくれるものです。
BBT基礎体温を測り始めると、低い体温が続き体温が上昇して高い体温が続くことがわかります。排卵後に体温を上げているのは、黄体ホルモン(プロゲステロン)が排卵した卵胞から分泌されるからなのです。
黄体ホルモンの作用は、体温を上げることの他に、子宮内膜分泌(柔らかくする)作用、妊娠の継続、皮脂分泌促進など。ほとんどの方が排卵と黄体化が同時に起こりますが、一部の方は排卵しなくとも体温が上昇することもあります。
卵の成長が遅かったり問題があったり、排卵しなくても自分の周期というものがありますから、卵胞が萎縮しながら黄体化して黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるからなんですね。
排卵を正確に診断するには、超音波検査が不可欠です。検査でLUF(黄体化未破裂卵胞)と診断される場合もあります。
LUF(黄体化未破裂卵胞)の方は、子宮内膜症やPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、開腹手術の既往がある方や腹腔内の癒着がある方が比較的多いようです。基礎体温だけで100%排卵しているか否かは、判断できないものなのです。
卵の成長に問題があり黄体機能不全や、高温期が短い人にはヒスロンやプロベラ、デュファストンを使います。中身は黄体ホルモンです。
外から黄体ホルモンを同じ作用のお薬を投与し、体温の維持や高温期のサポートをしています。でも、よく考えてみると体質は何にも変わってないのです。
自分できちんと黄体ホルモンを分泌させるような体質改善は、漢方薬や鍼灸治療といった日本でもお馴染みの伝統医学が良いようですね。
薬局で、子宝相談を初めて受ける方へお願いするのが不妊治療を開始した際に検査したデータをお持ちいただくことです。
「血液検査なら、つい最近健康診断で行いました」といっても、そのデータを見てもあまり意味がないのです。たとえば、内科では血液検査で肝機能や中性脂肪、腎機能や貧血の有無、が中心となります。
産婦人科で行う血液検査は、卵巣機能や子宮内膜症か否か調べる事が目的だったりするのです。もちろん甲状腺や副腎や貧血を調べる場合もありますが、多くの検査は一般的な血液検査とは違うものです。
東洋医学による体質の判断は、「気」だとか「津液」がどうだとか非科学的な事ばかりではなく、不妊症の場合はあくまでも現代医学的所見に基づきます。
視床下部や下垂体に原因があるのか、あるいは子宮や卵巣機能に問題があるのかは基礎体温などを参考にさせていただき、そこに古くからある東洋医学の技で対応していくのです。
例えば、FSHが高くE2やP4が低ければ卵巣機能の低下が疑われ、基礎体温がギザギザで排卵してそうもないのであればPRLが高い可能性もあります。2年以上避妊をせず、普通に夫婦生活を営んで妊娠しなければ、不妊症といわれます。
薬局や鍼灸院を最初に訪れる前に、どこに原因があるか調べるためには現代医学的所見が必要です。まず、基礎体温を測り、産婦人科を受診。そして必要に応じてフューナーテスト、頸管粘液検査、子宮卵管造影検査、精液検査、経腟超音波検査など検査は進みます。
卵管がしっかり通っていて、卵胞が成熟しきちんと排卵。十分な運動精子が放出されてしかも頸管粘液の分泌もしっかりある。この条件が整わなければ、自然妊娠には程遠いのです。
胎児期5~6か月の頃、約600~700万個もっていた卵子は出生時には200万個へ数が減っていきます。出生時から右肩下がりに減っていく卵子。毎月28日の周期で、生みたて新鮮の卵が排卵されているのではないのです。
この卵が作られたのは、生まれる1年前ですので、「実年齢+1歳」がその卵の年齢なのです。 あなたより1歳年上のお姉さんということです。
年齢を重ねるごとに、疲れやすくなり肌ツヤも悪くなり、シミやくすみ、たるみも出てきて老化を感じます。基本的に卵子も同じです。20代の頃は、きれいな円形の卵子が多いのですが、30代後半になると楕円形や形のいびつなものが多くなると言われております。
形の整っていない卵は、受精しにくい、分割しにくい、受精しても着床しにくい、などリスクがあるようです。しかし現代医学の発展により卵を育てるクロミッドやHMGなど、便利なお薬で妊娠できる環境になりました。
しかし、今抱えている不快な症状は治りましたか? 生理痛・冷え性・イライラ・便秘・周期が整わない、高温期が短い… こういった問題を棚上げしておいては、良い結果も出にくいと思われます。
ここ最近、人気の健康食品やサプリメントに欠けているものは、市場に出回ってから歴史が浅く効果が検証できないこと、治療にはならないことです。
本当に、妊娠力の底上げにつながるのは数千年の歴史を誇る漢方薬や鍼灸治療が1番だと私は日頃感じております。
人生で1番卵子を多く持っているのは胎児のころ。胎児期4~5か月で約600~700万個もの卵子を持っています。
しかし、出生時には200万個までに減り初潮を迎えるころには30万個に。さらに妊娠適齢期28歳時は20万個。 40歳位には3万個までに減っていきます。 約40年間の生理で排卵される卵子は480個。
その他数十万個の卵子は、成熟することなく吸収されて寿命を迎えます。男性の精子とは違い、女性は増えることはありません。増やす方法や治療法は現在ありません。
妊娠力の底上げには、効果の薄い健康食品やサプリメントではなく、漢方薬や鍼灸治療をおすすめします。
昨今マスコミが大げさに取り上げるのが40歳以降の妊娠や出産。40過ぎても大丈夫!みたいな誤った報道が多く見受けられます。
確かにART(補助生殖医療)の進歩で、40代後半での妊娠出産は技術的に可能になりましたが35才を過ぎれば高齢出産、40歳を過ぎれば胎児の先天異常の確率はうんと上がる、流産の確率も格段に上がるなどのリスクは昔から何も変わっていないのが現実です。
何故デメリットを報道しないのでしょうか。
日本産婦人科学会のデータによると、35才を境に妊娠率と流産率が逆転します。また、母体が若すぎると胎児に染色体異常が増えるなど問題が報告されております。
つまり、20~34歳が妊娠適齢期といえます。
少し古いデータで恐縮ですが、2012年の日本の将来推計人口(国立社会保障人口問題研究所調査)は、1995年(平成7年)生まれの女性20.1%が50歳時点で未婚。そのうち35.6%が子供を持たないという推計が算出されております。5人に1人が結婚をせず、3人に1人が子供を待たないということです。
頑張って良い大学を卒業し、良い会社に就職して一生懸命仕事を続けて結婚は後回し。やっと仕事も任されるようになり、最愛のパートナーと結婚。
そろそろ子供でもと思ったらすでに30代後半。不妊治療を始めたけど、なかなか妊娠できなくこの先の治療も不安。西山薬局や西山鍼灸院には、このような方がとても多いのです。
分娩するのに予約が必要だったり、安心して預けられる保育園が不足していたり。妊娠後も問題がまだまだいっぱいあるのが現実。子供たちを安心して育てられる社会にしなければなりませんね。