新型コロナウィルスが流行し3年目に突入、私達は「免疫力」という言葉に敏感になりました。
ヒトの体は、皮膚や粘膜などが外敵(病原菌やウイルス)の侵入を防ぐバリアーとして機能しています。そのバリアーをかいくぐって体内に侵入した外敵に対して働くのが「免疫」です。
すなわち、病原菌やウイルスなどの感染から体を守る仕組みが「免疫」なのです。
免疫の主役は血液の「白血球」を構成するいろいろな免疫細胞(マクロファージや好中球、NK細胞など)です。これらが複雑に連携しながら健康状態を保っています。
この免疫の働きが低下すると感染症に罹ったり、過剰に働きすぎるとアレルギー反応を起こしたりします 「免疫力」とは病原菌はウイルスなどから身体を守る防御能力のことです。
免疫力が低下すると現れる症状
・ウイルスや感染症などに罹りやすくなる
・肌が荒れる
・疲れやすい
・下痢をしやすくなる
免疫力には毎日の食事や生活習慣も大きく関係しています。今一度見直して「免疫力」を高めましょう。
粘膜強化と免疫力アップに必要な物は?
●粘膜を丈夫にするビタミンA
空気が乾燥しやすい冬場は、粘膜も乾燥しやすい季節です。粘膜には「粘液」が分泌されていて、潤いを保つことで免疫が発揮され身体を守っています。
粘膜が乾燥すると、病原菌やウイルスの侵入を防ぐことが出来なくなったり、粘膜が傷つきやすくなったりします。
まずは「こまめな水分補給」で粘膜の乾燥を防ぎましょう。
水分補給は冷たい飲み物ではなく、温かい飲み物(体温以上の温度)を摂るようにしましょう。
特ににおすすめなのは白湯です。湯気を吸いこみながらゆっくり飲みましょう。
また、粘膜は皮膚の強化に役立つのが「ビタミンA」です。ビタミンAは、レバーやウナギなどの動物性食品に多く含まれていますが、摂り過ぎると頭痛などの症状が出ることがあるので、レバーやウナギで摂る場合は少量で良いでしょう。
ほうれん草、かぼちゃ、ニンジン、トマト、オクラなどの緑黄色野菜に含まれるβーカロテンやリコピンなどのカロテノイドは、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。緑黄色野菜はたっぷり積極的に摂りましょう。
●免疫細胞を作るたんぱく質
骨や筋肉、皮膚など私たちの体を作るたんぱく質は重要な栄養源ですが、免疫細胞にとっても同じく重要なものです。獲得免疫がつくる抗体もたんぱく質でできています。肉・魚・卵・大豆製品などからバランス良くたんぱく質を摂りましょう。
●腸と免疫の関係
人間の腸管の表面積はテニスコート1.5面分もあり、免疫細胞の6割が集中することから「人体最大の免疫器官」とも言われています。食べ物を通して病原菌と接触するほか、腸には100兆個もの腸内細菌が存在しています。
便秘などで腸内環境が悪化すると、免疫力も落ちてしまうと言われています。食事や運動で腸内環境を整えて、免疫が正しく働くようにしましょう。
腸内環境を整える効果が期待できる食品には、食物繊維と発酵食品があります。
食物繊維
・海藻や蒟蒻・・・老廃物と一緒に便を出す
・根菜類(大根、ごぼう、レンコンなど)やキノコ類・・・便の量を増やし排便する力を高める
発酵食品
・納豆、ヨーグルト、味噌、チーズ、キムチなど・・・腸内の善玉菌を増やす
腸内環境を整える食事とは?
・食事の時間
出来るだけ決まった時間に食事をすることで、消化液が一定のリズムで分泌されます。
・食事の量
個人の適量を。暴飲暴食は胃腸の負担になります。
・よく噛む(一口20~30回)
唾液の分泌を促し、粘膜の乾燥を防ぎます。また消化液の分泌も促します。
・バランスよく食べる
細胞のもとになる食事は、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
・食事は楽しく
心身ともに安定した状態で食事を摂ると栄養吸収率がアップします。
・水分を摂る
腸内で便をスムーズに移動させるためにも温かい物をこまめに摂るようにしましょう。
毎日摂る食事で免疫力を高めることができます。どれもすぐに出来るものなので、免疫力が気になる方は積極的に摂るようにしてください。
【この記事を書いた人】
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
四代目 薬剤師 西條ゆみこ
漢方薬局に生まれ幼少期から生薬に囲まれて過ごす
大学生と中学生2児の母親
更年期障害真っ只中で漢方処方を日々研究中