
強面の不妊カウンセラー梅安です。
本日はお客様からいただいた、ご質問にお答えいたします。
「体外受精を2年続けております。毎回、採卵の時はそこそこの数がとれて、いくつか胚盤胞にまで育ちグレードも悪くないです。
しかし、一度も着床したことがありません。
これ以上続けていて、良い結果が出るのか心配。
自分で何か漢方薬飲む以外で出来ることがあれば知りたいです。
着床の確率を上げるのに良い指標となる検査も気になります。36歳会社員」
良い受精卵があるにも関らず、なかなか妊娠に至らない。
何とも歯がゆい気持ちだとお察しいたします。
でも、あともう少しで良い結果が出ると信じてください。
質の良い受精卵を複数回胚移植しても陽性とならない。
最近は「着床不全」と言いますが、昔は原因不明とされてきました。
しかし、首都圏を中心に近年はこのような検査も取り入れているクリニックが増えてきました。
ERA(子宮内膜着床能検査)、EMMA(子宮内膜マイクロバイオーム検査)、ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)です。
1.ERA(子宮内膜着床能検査)
子宮内膜が受精卵を受け入れる期間をimplantation window(着床の窓)といい、1~2日間あるとされています。
そのimplantation window(着床の窓)には個人差があり、どの期間か特定するのは今まで解明することができませんでした。
しかし、子宮内膜組織のサンプルを採取し、海外の専門機関に送り約250種の遺伝子を調べて個々に適した胚移植の日程をある程度絞ることが可能に。
「着床時期のずれの有無」を客観的にみて、最適な着床時期を特定する検査なのです。
2.EMMA(子宮内膜マイクロバイオーム検査)
子宮内膜の常在菌(善玉菌・悪玉菌・日和見菌)のバランスを調べます。
着床に影響するといわれる子宮内フローラ(ラクトバチルス属に着目)の視点から検査。
※子宮内フローラの環境をよくするには?近日中に記事にいたします
近年、ラクトバチルス属の常在菌は正常な子宮内膜に豊富に存在することから、その割合が高いと着床しやすいことが明らかになりました。
3.ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)
着床不全や習慣性の流産の原因として慢性子宮内膜炎もその一つとして挙げられます。
常在菌とは違い、子宮内腔が細菌感染している状態で不妊患者の約30%、不育症の方の約60%が罹患との報告も。
今まで培養が難しく確認できなかった慢性子宮内膜炎の病原菌を調べます。
病原菌が見つかれば、必要な抗生剤を用いて適切な治療へとつながるわけです。
EMMA(子宮内膜マイクロバイオーム検査)と、ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)は海外ではスタンダードになりつつあり、日本でも全国で普及するのは時間の問題ともいわれております。
自費の場合、某クリニックでは3つの検査で¥170,000(汗)。
それぞれ個々に検査もできますが、2と3は検体を採るのは1回で済みます。できれば一緒に検査しておきたいものです。
着床率を上げるためにできること
implantation window(着床の窓)はさておき、子宮内フローラを健全に保つことと炎症体質を改善するための養生はできそうだと思いませんか?
子宮内フローラ、善玉菌の比率を上げるには食生活の改善。
発酵食品、ラクトフェリン系の食品やサプリも摂りましょう。
便秘と腸内フローラ、そして子宮内フローラの関係性も否定できません。
妊娠する前の今だからこそ、便秘は治しておきましょう。
漢方では・・・
受精卵に過剰反応してしまう炎症体質に対しては、桂枝茯苓丸や冠元顆粒、田七人参など活血化瘀系と霊芝、五行草、白花蛇舌草などの生薬、五涼華や瀉火利湿顆粒もいいです。
子宮内膜症などの炎症疾患には、これらを組み合わせるのが定番です。
結構、選択肢があるのでご安心ください。
「ただ何かを飲むだけ」というのでは効きが弱いので、体の傷を修復する時間帯「シンデレラタイム」までには寝ることです。
1日の睡眠時間は7時間以上とりたいですね。

【この記事を書いた人】
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
代表取締役社長 西條信義(梅安先生)
不妊カウンセラー、国際中医専門員、鍼灸師
漢方薬と鍼灸の二刀流でケアしております
趣味はバイクツーリング、焚き火、珈琲