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Vol.045 「咳」を和らげる漢方の養生法

季節の変わり目で体調を崩しやすいこの時期は、カゼや秋の花粉などの影響から咳や喘息の症状に悩まされることも多いようです。なかなか止まらない咳や喘息は、慢性化すると体力を消耗して、身体全体の不調にもつながります。

早めの対策を心がけて、つらい症状を体質から改善していきましょう。 

 

早めの対策がなぜ必要なの?

 

咳は、基本的にウイルスや花粉などの異物を体から追い出すために起こる大切な防御反応のひとつです。むやみに止めてしまうのはあまり良くないとされています。

でも、咳は一度続くとなかなか止まりにくく、悪化すると肺炎や喘息などの重い症状につながるケースもあります。また、症状の慢性化は睡眠不足や体力の消耗を招き、全身の健康状態に影響することも少なくありません。

そのため、初期の段階できちんと対応して悪化させないことが大切です。

 

中医学では、咳の症状を引き起こす初期の原因を大きく2つに分けて考えます。1つは「冷え」。体質的な冷え性や気候、冷房などによる寒さから起こる咳で、薄い鼻水や痰、悪寒などを伴います。

 

もう1つは「熱」にる咳で、熱がこもりやすい体質の人、カゼやウイルスの影響で体内に熱が発生した人などに起こる症状です。発熱や発汗、口の渇き、濃い痰などが特徴です。

 

このほか、「過剰なストレス」や体に溜まった「痰湿(体内の余分な水分やよごれ)」、慢性化による「虚弱」なども、症状の悪化や長期化を招く原因になります。

 

咳や喘息は、繰り返しやすい症状です。きちんと改善して再発を防ぐためにも、直接的に症状を抑えるだけでなく、原因を見極めて根本から体質を整えるように心がけましょう。

 

タイプ別 咳と喘息の養生法

 

咳や喘息の養生は「肺」健やかにを保つことが基本となります。身体の冷えや熱、ストレスといった原因を取り除きながら、肺の機能を高めるように心がけましょう。

また、「脾胃」や「腎」の不調も肺の機能低下につながるため、自分の体質や症状を見極めながら適切に対応することが大切です。 

 

「冷えタイプ」(悪寒や頭痛を伴う)

気候や冷房による寒さ、体質的な冷えなどで身体が冷えた時に起こる咳・喘息の初期症状。薄い鼻水や痰、悪寒、発熱などを伴います。

カゼの初期に起こる咳もこのタイプで、身体が冷えると症状が悪化してしまうこともあります。

初期の段階で早めに改善できれるよう、まずは身体をしっかりと温めて冷えを追い払い、「肺」の機能を高めるよう心がけましょう。

 

【主な症状】

痰の色が白または透明、悪寒、発熱、頭痛、汗は少ない、顔色が白っぽいなど

 

【食養生】身体の冷えを発散する食材

ねぎ、シソ、生姜、シナモンなど

 

【よく用いられる漢方薬】

麻黄湯、小青竜湯など

 

「熱タイプ」発熱や発汗を伴う

カゼのウイルスなどの影響で身体に夏が発生すると「肺」が炎症を起こして咳・喘息の症状が現れます。濃い鼻水や痰、発熱、口の渇きなど熱っぽい症状を伴うことが特徴で、体質的にも熱がこもりやすい人は要注意です。

養生の基本は、体内にこもった熱を冷ますこと。肺の炎症を鎮めて、咳や喘息の症状を和らげましょう。

 

【主な症状】

呼吸が速くて荒い、汗をかく、痰の色は黄色く濃い、胸痛、口の渇き、発熱、顔が赤い、便秘気味、舌が赤いなど

 

【食養生】体内の熱を冷ます食材

葛、菊花、ごぼう、梨、大根など

 

【よく用いられる漢方薬】

銀翹解毒散、銀翹風熱丸、麻杏止咳湯、五虎湯など

 

虚弱タイプ(体力不足)

咳や喘息の症状が慢性化すると、身体全体が消耗してしまいます。生命エネルギーの源である「腎」や、食べ物を消化吸収する「脾」の機能も弱くなるため、「肺」の栄養や潤いも不足しがちになり、症状もなかなか改善できません。

 

高齢者、虚弱体質の人などは、基本的な体力を養うために脾胃・腎の機能を高めることが大切です。しっかりと栄養を摂ることで肺にも栄養を潤いを与え、健やかな状態に整えましょう。

 

【主な症状】

慢性化した咳、夜間の咳が強い、息切れ、疲労感、少し動くと汗が出る(自汗)、カゼを引きやすい、食欲不振など

 

【食養生】肺・脾胃・腎を補い身体を養う食材

白きくらげ、はちみつ、クルミ、ゆり根、山芋、かぼちゃ、クコの実など

 

【よく用いられる漢方薬】

麦味参顆粒、麦門冬湯、衛益顆粒、補中益気湯、八仙丸など

 

痰湿タイプ(飲食の不摂生)

身体に溜まった「痰湿(体内の余分な水分や汚れ)」は、「肺」にトラブルを引き起こす原因の11つです。食事の不摂生などが原因で「脾胃(胃腸)」の機能が低下すると、痰湿が溜まりやすくなり咳や喘息の原因となります。

 

太り気味の人、暴飲暴食などで脾胃が弱っている人などは、まず身体に溜まった痰湿を都営除き、脾胃の機能を高めるように心がけましょう。

 

【主な症状】

痰が多い、胸苦しい、悪心、食欲不振、舌の苔が厚い、喉がゼーゼーと音がするなど 

 

【食養生】余分な水分や汚れを取り除き、流れをスムーズにする

杏仁、銀杏、クラゲ、のりなど

 

【よく用いられる漢方薬】

温胆湯、平喘顆粒、二陳湯、半夏厚朴湯など

 

「ストレスタイプ」気のめぐりが悪い

強いストレスなどを受けて精神が不安定になると、全身を巡る「気」の流れが悪くなって咳や喘息の症状が悪化しやすくなります。

ストレスで症状が強く出る人、普段からイライラしやすい人などは、気分を穏やかに保つように心がけることが大切です。ストレスを上手に発散して、気の流れをスムーズに保ちましょう。

 

【主な症状】

胸苦しい、強いストレスを受けると発作が起こる、イライラしやすい、怒りっぽいなど

 

【食養生】香りがよく気のめぐりを良くしてくれる食材

薄荷、シソ、ゆずの皮、花茶、ミカンの皮、三つ葉、セリ、パクチー、かんきつ類など

 

【よく用いられる漢方薬】

平喘顆粒、神秘湯、半夏厚朴湯、柴朴湯など

 

生活習慣を改善しよう

咳や喘息は繰り返しやすい症状です。一時の症状緩和だけでなく、再発しないよう体質を根本から整えることが大切です。

ストレスを溜めない、食生活を見直す、睡眠を十分にとるなどして体力をつけて健康な身体をつくるように生活習慣の改善を心がけましょう。 

 

・空気のきれいな場所でゆっくりと深呼吸する

・たばこの煙、排気ガスはなるべく避ける

・こまめな掃除でほこりやカビを除去する

・ウォーキングや水泳などの有酸素運動を続けて肺の機能を高める 

・食事は野菜や大豆製品などを中心にバランスよく摂る

・塩分や糖分、脂っこいものの摂り過ぎには注意する

・出来るだけ早く寝て、睡眠は毎日しっかりとるようにする 

 

自分の体質や症状を見極めながら、しっかり養生しましょう。

 

【この記事を書いた人】

創業明治34年 漢方薬の西山薬局

四代目 薬剤師 西條ゆみこ

 

漢方薬局に生まれ幼少期から生薬に囲まれて過ごす

大学生と中学生2児の母親

更年期障害真っ只中で漢方処方を日々研究中

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