・以前より月経量が増えた
・生理痛がひどくなった
・痛みはそんなに酷くないがいつも腰痛がある
・めまい・たちくらみ・貧血がある
・頻尿である
・便秘がち
・下腹部のしこりを自覚している
これらの症状でお悩みではありませんか?
特に、月経量が増えた・月経痛が酷くなったと感じているようなら一度婦人科を受診してみましょう。
もしかしたら、子宮筋腫かもしれません。
子宮筋腫は、成人女性の4~5人に一人はできると言われています。
子宮筋腫は良性の腫瘍ではありますが、症状が重くなると貧血や強い月経痛などに悩まされることもあります。
不調を和らげて子宮筋腫を予防するためにも、中医学の知識を生かして体質を健やかに整えましょう。
子宮筋腫の主な原因は瘀血
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、できる場所によって主に3つに分けられます。
・子宮の筋肉にできる「筋層内筋腫」
・子宮の外側にできる「漿膜下筋腫」
・子宮の内側にできる「粘膜下筋腫」
原因ははっきりしていませんが、筋腫は女性ホルモンの影響で成長するため、閉経後は縮小傾向になります。
ただし、ごく稀に筋腫が悪性の病気につながることもあるので、筋腫がある人は閉経後も定期的に診察を受けるようにしましょう。
代表的な症状は、月経量の増加と月経痛。その他にも不正出血、貧血、頻尿などの症状も多くみられます。症状は筋腫ができた部位によってまちまちで、子宮の内側にできると小さくても症状が強く、反対に外側にできると症状が現れないこともあります。
いずれにしても、子宮筋腫は不妊や流産などの原因にもなるので、症状に合わせて対処をすることが大切です。
漢方の中医学では、子宮筋腫などの「しこり」の症状は「瘀血(おけつ)」=血行不良が主な原因だと考えます。
そのため、対処の方法は滞った血のめぐりをスムーズに整えることが基本となります。それと同時に、瘀血の原因となる「気」の停滞、冷え、気血不足なども合わせて改善していきます。
こうした中医学の対処は、子宮筋腫が出来やすい体質を根本から改善して筋腫の再発を防いだり、筋腫の成長を抑えたりすることが期待できます。
ただし、筋腫の大きさや症状によっては手術なども必要になるため西洋医学と中医学を組み合わせて適切に対処しましょう。
子宮筋腫の養生法
子宮筋腫の手術を受けた人、筋腫が小さいため特に治療を受けていない人などいろいろですが、体質を整えて筋腫ができにくい身体づくりをすることはとても大切です。
筋腫につながる身体の不調をチェックして積極的に改善しましょう。
子宮筋腫の基本ケア=「瘀血」の改善
中医学では、婦人科系の不調は「血」の状態と深く関わっていると考えます。しこりができる子宮筋腫の症状は、血のめぐりが滞る「瘀血」が主な原因です。長期にわたって血の流れが停滞することで、しこり(筋腫)が出来やすくなるのです。
子宮筋腫がある人、子宮筋腫の手術を受けた人などは、まず瘀血体質をしっかり改善して、筋腫の出来にくい身体をつくることが大切です。できてしまった筋腫も、小さいうちであればしっかりと体質を整えることで成長を抑えることも期待できます。
血のめぐりを良くすることは、生理痛などの子宮筋腫による諸症状の緩和にもつながります。 食事や生活習慣に気を配り、滞った血のめぐりをスムーズに整えましょう。
【瘀血の症状】
月経前・月経時の下腹部の張りや痛み、経血の色が暗い、経血にレバー状の血塊がまじる、顔色のくすみ、シミが多い、手足のしびれ、静脈瘤、肩こり、舌の色が暗くて瘀点がある
【瘀血の食養生】
黒きくらげ、なす、黒豆、小豆、玉ねぎ、サフラン、青魚、ニンニク、桃、シナモンなど
【瘀血体質の子宮筋腫に用いる漢方薬】
冠元顆粒、血府逐瘀湯、桂枝茯苓丸、田七人参など
【瘀血体質のプラスケア】
瘀血を改善するためには、滞った血のめぐりを良くしながらその原因を改善することが大切です。
◆疲れやすい人
「気」は「血」を生み、血の流れをサポートしています。
また、体内に血が十分あれば血流の良い状態を保ちやすくなります。そのため、虚弱体質や過度なダイエットなどで体内の気血が不足していると、血のめぐりが滞って「瘀血」を招きやすくなるのです。
気が不足すると、身体を守る力が低下して出血しやすくなるため子宮筋腫で増えた月経量がさらに増えてしまうこともあります。
疲労感や不眠などの症状がある人は、食事や睡眠をしっかりととって、不足しがちな気血を補いましょう。
◆気血不足の症状
月経周期が長い、出血が多い、経血の質がサラサラしている、月経後半に痛みが強くなる、疲労感、めまい、脱毛、不安感、不眠、動悸、食欲不振など
【食養生】
黒糖、クコの実、なつめ、鶏肉、豚肉、たまご、人参、ほうれん草、山芋、大豆製品など
【気血不足体質の漢方薬】
婦宝当帰膠、心脾顆粒、参茸補血丸、補中益気湯、十全大補湯、芎帰膠艾湯など
◆冷えがある人
「血」は冷えると凝固し、温めると流れるという特徴があります。そのため、冬の寒さやクーラーの冷え、冷たい物の摂りすぎなどで身体が冷えると血流が悪くなり「瘀血」を招いてしまうのです。
このタイプは、子宮筋腫による月経痛など痛みの症状が強く出やすいので気をつけましょう。
身体を冷やさない服装、温かい飲食、毎日の入浴などを心がけて『冷え体質』を根本からしっかりと改善しましょう。
【冷えの症状】
月経前・月経時の下腹部の冷えや痛み、経血の色が暗い、経血に黒い塊がまじる、温めると痛みが和らぐ、手足の冷え、顔色が白い、むくみやすいなど
【食養生】
よもぎ、ねぎ、シナモン、生姜、山椒、黒糖、紅茶など
【冷え性体質の漢方薬】
婦宝当帰膠、温経湯、芎帰調血飲第一加減など
◆ストレスが多い人
「気」は「血」と一緒に体内を巡り、血を押し流す仕事をしています。そのため、気に流れが停滞すると、血のめぐりも悪くなって「瘀血」を招いてしまうのです。
気を停滞させる主な原因は、過剰なストレスによる「肝」の機能低下。 肝にはストレスを発散させて、体内の気のめぐりを整える働きがあります。
一方、強いストレスを受けるとその機能が低下してしまうため、日ごろからストレスをため込まず、こまめに発散させることが大切です。
【ストレスからくる症状】
月経前症候群(胸の張りや痛み、頭痛、肩こり、イライラなど)、月経時のお腹の張り、憂うつ感、緊張感、胸苦しい、のどの閉塞など
【食養生】
ミント、ジャスミン、菊花、春菊、セリ、三つ葉、そば、香草類、かんきつ類など
【ストレスが強い方の漢方薬】
逍遥顆粒、加味逍遙散、開気丸など
子宮筋腫体質改善の養生
・ストレスはこまめに発散する
・身体が冷えないように、飲食、服装、室内温度などに気を付ける
特に夏の素足には要注意!下半身を冷やしやすいので冷房が効いている室内では靴下やスリッパなどを履く
・月経時には特に腰回りを温める。
夏の薄着の季節には、特に注意が必要です。お腹だけは冷やさないようにしましょう。
・月経後は鶏のスープなど身体を補い温める料理を積極的にとる
・毎日、湯船に入り温まる
ストレス解消、冷え予防、血行改善につながります。
いかがでしたか?
子宮筋腫のご相談は意外と多いものです。お悩みの方はご相談ください。
【この記事を書いた人】
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
四代目 薬剤師 西條ゆみこ
漢方薬局に生まれ幼少期から生薬に囲まれて過ごす
大学生と中学生2児の母親
更年期障害真っ只中で漢方処方を日々研究中