妊娠の報告ばかりならば薬局としても嬉しいですが、妊娠しても残念なことに流産してしまうお客様もいらっしゃいます。
流産の原因として、母体側と胎児側が考えられます。
そして、胎児側の原因には染色体異常が多くを占めているといわれています。
染色体とは
染色体とは、簡単にいうと遺伝情報を持つDNAの塊であり、細胞の核内に存在します。
ヒトの場合、2本1対となっていて、23対46本あります。父親から23本の染色体を持つ精子と、母親から23本の染色体をもつ卵子が受精して46本の染色体をもつ受精卵ができます。
染色体異常とは
染色体異常には、数的異常や構造異常などがあります。
数的異常(=異数性)とは、染色体の一部、あるいは複数の部分が1本多い場合(トリソミー)と1本少ない場合(モノソミー)があります。
構造異常には、染色体の一部の欠失や重複、転座などがあります。
転座とは、染色体のある部分が、本来とは別の位置にある状態で、大きく分けて、均衡型転座と不均衡型転座があります。
均衡型転座とは、ある染色体とある染色体の間で場所が入れ替わっているが、全体を通して過不足はない状態です。
不均衡型転座とは、転座により染色体量の過不足が起こっている状態です。
図1.新生児における染色体異常児の割合
新生児の染色体異常の頻度は1/154 (約0.6%)認められています。
図2・自然流産児における染色体異常児の割合
さらに、これは各染色体異常が妊娠過程においてどのような予後をとるかを予測したものです。
染色体異常のある受精卵や胎児は生まれてくるまでの間に淘汰され、実際に生まれてくる頻度は低いと考えられます。
では、受精卵での染色体異常の割合はどうなっているのか??
こちらの論文より
(初期胚とは受精後3日目の胚で、胚盤胞とは体外で培養できる最終段階の状態です)
年齢にともない異数性の割合が増加していることがわかります。
どの年齢においても、初期胚より胚盤胞の方が異数性の割合が下がっています。
受精卵は胚盤胞に発達してくるまでの間に多少、異常のものは淘汰されていると考えられます。
現在では着床前スクリーニングといった胚の染色体異数性異常を調べる方法もあります。
このスクリーニングを行い胚を選別することにより妊娠率が向上し、流産率を低下させる可能性があるといわれています。
参考文献
トンプソン&トンプソン遺伝医学 第2版
マイクロアレイ染色体検査
毎年、不妊治療を受けるカップルの平均年齢が上昇傾向です。
そして体外受精を受ける方が40歳を超えるケースも珍しくなくなってきました。
日本国内で、胚移植される方で一番多いのは39歳の方です。
ART(IVFやICSI)を受けている方NO.1は41歳ということです。
36~37歳をすぎると体外受精の成功率は右肩下がりとなる。
35歳を過ぎたカップル(旦那さんも)は、
・いかに酸化ストレスを低減するか
・いかに卵巣力・精巣力を支える続けるか
・普段は睡眠をたっぷりとる
他にもありますが、IVF・ICSIの成功率を高めるにはここがポイントです。
妊活は二人三脚です
卵子はXの染色体だけを持っていて、精子はXとYの両方。
受精卵の半分は、奥さんの遺伝子。もう半分は旦那さんの遺伝子。
病院選びや卵巣刺激の方法や移植のタイミングに拘りすぎても、土台がしっかりしていないとダメなんです。
体外受精の判定が陰性だった場合、染色体異常というキーワードばかりに注目されがちですが、体を整えることもお忘れなく。
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
代表取締役社長 西條信義(梅安先生)
不妊カウンセラー、国際中医専門員、鍼灸師
漢方薬と鍼灸の二刀流でケアしております
趣味はバイクツーリング、焚き火、珈琲