本日は、子宝相談で意外に多い皮膚病で長期ステロイド製剤使用歴がある方と男性不妊の関係についてブログを書きます。
日頃、男性不妊の方にカウンセリングをしていると精液検査の結果において
・精子の数が少ない
・運動率が悪い
・射精に至らない
などご相談を受けます。
さらにご相談を続けると、幼少期の頃からアトピーを持つ男性でステロイド薬を現在使用しているお客様も多いです。
しかし、結婚し子供を考えた時になかなか妊娠に至らず、精子に何かしら問題を抱えている方が比較的多いように見受けられます。
調べてみるとステロイド薬を長期連用すると男性不妊になることが分かりました。
~参考文献から
・Texas Fertility Center
http://txfertility.com/
以降、論文の要約を記します。
ステロイドと男性不妊の因果関係
長期間に及ぶステロイド剤の使用により、男性の生殖能力は衰え、無精子性や男性不妊を引き起こすと判明。
ステロイドは、血中テストステロン(男性ホルモン)量や体内の内分泌ホルモンバランスに対して影響を与えることが明らかになった。
「テストステロン(男性ホルモン)の働き」
テストステロンは精巣にて自然に分泌され、精子の形成を促す。
精巣においてテストステロンが必要以上に分泌された場合、超過分は精巣から体内へ送られ、他の細胞と結合してプロテインが生成される。
ステロイドにより血中テストステロン量が高濃度に達すると、脳から精巣へテストステロンの分泌を止めるように指令伝達される。
精巣内ではテストステロンの分泌が止まり、精子形成は不可能となる。
一方、血中から精巣へテストステロンを送ることは不可能であると言われる。その為、精巣内でのテストステロンは欠如し、無精子症になると考えられる。
ステロイドを起因とした不妊の対処法
専門家らは、ステロイドを起因とした不妊の改善には、速やかにステロイドの使用を止めることが重要であると述べている。
使用量や使用期間によって生殖能力に与える影響の度合いは異なるが、特に、無精子症の場合、治療にはある程度の時間を要するという。
なお、無精子症は投薬治療となり、血液検査に基づき薬が処方される。
NHKの報道によりますと、都内のクリニック調査によると、男性の6人に1人が精液検査の結果に異常を生じているといいます。
※図:NHKクローズアップ現代より
大人になっても治らなかったアトピー性皮膚炎。
ステロイド製剤が悪い、と言っているのではありません。
昔は、「痒くなる前に塗っておく」という間違った使い方が多かったです。
だからといって、漢方薬がそれに代わるものでもない。
痒みを早く抑えることができる。ステロイドも使い方なのです。
東洋医学で考える皮膚病と生殖器
陰陽五行を基礎とする東洋医学。
五臓(六腑)にそれぞれ病気がぶら下がっているとイメージしてください。
アトピーなど皮膚病は肺と大腸の病。
生殖器・不妊症のお悩みは腎・膀胱の病。
肺と腎は臓、大腸と膀胱は腑。
臓と腑は陰陽・表裏の関係になっております。
この図をご参照ください。
時計回りの矢印は「相生(そうせい)関係」といい、その上位の内臓(親)が矢印の先にある内臓(子)を補うという関係を意味します。
ちなみに、トライアングル内側の矢印は「相克(そうこく)関係」といい、ある程度抑えつける(影響して)ようにバランスをとっています。
昔から子供のアトピー治療は皮膚ケアだけでなく、消化器の脾(親)と肺と大腸(子)一緒にケアしていきます。
皮膚(子)は肺・大腸に属し、その親は脾。
胃腸も丈夫にして皮膚を強くしていくことが根本治療となります。
幼少期のアトピー性皮膚炎が成人まで持ち越した場合は、肺の子供は腎、腎からみると親は肺。
痒みを抑えてくれる副腎皮質ホルモン。
東洋医学的には副腎の働きが弱い「腎虚体質」と考えます。
親が弱いと子供も弱いままです。
皮膚病ケアをしながら妊活することが良いのです。
皮膚病も実は漢方薬が得意な分野でもあります。
アトピーをケアしながら男性も妊活ができる処方を上手に使いましょう。
街の漢方薬局は皮膚病に強い専門家も多く存在しますので是非ご相談ください。
【この記事を書いた人】
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
代表取締役社長 西條信義(梅安先生)
不妊カウンセラー、国際中医専門員、鍼灸師
漢方薬と鍼灸の二刀流でケアしております
趣味はバイクツーリング、焚き火、珈琲