新型コロナウイルスの予防対策に欠かせない『マスク』。
マスクを長時間着用することで、口の周りや顎にニキビができた・悪化したというご相談が夏から増えています。
ニキビは摩擦によって生じやすいので、マスクが原因の1つとなっているのは間違いないようです。
「皮膚科の先生からも、マスクのせいでニキビが治りにくくなっていると言われました」という20代の女性の方もご来店されました
ニキビの原因
ひとくちにニキビと言っても思春期ニキビと大人ニキビでは原因も用いる漢方薬もちがいます。
●思春期ニキビ
約90%が経験するとも言われている思春期ニキビ。
思春期は、新陳代謝が活発で皮脂の分泌も過剰になりがちです。
そのため余分な皮脂が毛穴に詰まり、アクネ菌やブドウ球菌が増えて角栓がつくられ、その角栓が毛穴をふさいでしまいニキビの原因となります。
肌に汚れを残しておくと、ニキビの原因となる細菌が増えやすくなってしまうので、
思春期ニキビを改善するには、正しいW洗顔方法で清潔にすることが大切です。
そして、洗顔とスキンケアを中心に、炎症をとる漢方薬や薬草のお茶を使うことで改善できます。
●大人ニキビ
一方の大人ニキビは、ホルモンのアンバランス、睡眠不足、ストレス、内臓の疲れ(便秘)、 栄養バランスの悪さ、不規則な生活、肌に合わない化粧用品、紫外線、スキンケア不足などの様々な原因が絡み合って熱となりそれが皮膚に出てしまいます。
その中でも特に、大人ニキビはホルモンや月経周期と深い関係があります。
生理前の黄体ホルモンの分泌が上昇する高温期は、皮脂の分泌も活発になるのでニキビが悪化しやすく肌荒れもひどくなります。
大人ニキビの治療には、月経周期に合わせてホルモンバランスを整えながら体内にこもってしまった熱(炎症)を抑える漢方薬を使うことがポイントとなります。
また、中医学では、ニキビ・吹き出物はできる場所によってどの内臓にトラブルが起こっているかわかると考えています。
・頬・口の周り・フェースライン・・・食べ過ぎや胃腸の弱り
・Tゾーン・額・・・呼吸器系の弱り
・こめかみ・生え際・・・ストレスによる肝の働きの乱れ
・まぶた・鼻・・・食べたものと関係が深く、脂肪の多いものの取り過ぎ
・アゴ・首・鼻の下・・・腎(婦人科系・生殖器系)のホルモンの乱れ
・背中・胸・・・卵巣のトラブルなど婦人科系のトラブル
ここ最近増えているのは、新型コロナウイルスに対する自粛生活からくるストレスや暴飲暴食、不規則な生活による睡眠時間の乱れ、マスクをつける機会が多くなりその摩擦からくる肌への刺激が原因となってできる大人ニキビです。
睡眠時間の乱れもニキビの原因になります。
午後10時~午前2時の寝ている間に分泌される成長ホルモンは、肌の細胞分裂と再生を促すホルモンで美肌ホルモンでもあります。
このゴールデンタイムに熟睡していると成長ホルモンがしっかり分泌され肌を修復してくれるのです。
睡眠が不足したり、生活のリズムが乱れて寝る時間が遅くなってしまうとホルモンのバランスが崩れてしまい、その結果としてニキビができやすくなってしまいます。
食生活の乱れもニキビの原因の一つです。
甘いものや揚げ物などの油っぽいものには、糖分や脂肪分がたくさん含まれています。
糖分を多く摂ると、ビタミンやミネラルが糖の代謝のために使われてしまい肌にまわらなくなってしまうこともあります。
脂っぽいものの摂り過ぎはニキビの炎症を強めてしまいます。
食生活の乱れから便秘になってしまうと、これもニキビの原因になってしまいます。
また、ビールやワイン、チューハイ、日本酒などのアルコール類も余分な熱を生み出してニキビの炎症を悪化させてしまうので注意が必要です。
女性ホルモン(卵胞ホルモン・黄体ホルモン)のバランスの乱れもニキビの原因になります。
仕事やプライベート、いろいろな場面でストレスを感じたり緊張が続くとストレスに対抗しようとして男性ホルモンが多く分泌されます。
そうするとホルモンバランスが乱れてしまうためニキビが出来やすくなってしまいます。
ホルモンのバランスは生理前などは特に大きく変化するので、生理前になると特にニキビができやすい状態になります。
また、ホルモンバランスは、不規則な生活、睡眠不足、ストレス、食生活の乱れなどにも大きな影響を受けます。
大きく環境が変化したり、不規則でストレスの多い生活が長く続くとホルモンのバランスが乱れて、ある日突然大人のニキビとなってあらわれることがあるのです。
中医学ではどうする?
中医学では「ニキビは体にこもった熱が原因」だと考えます。
漢方では、自然界に存在するすべての物質に陰と陽のいずれかに分類されてバランスをとって成立していると説いています。
人間の体も例外ではありません。
この陰と陽のバランスが崩れ、陽が強くなると体の中に熱がこもりやすい状態になります。
それ以外にもストレスや生活習慣・食習慣などで一時的にそうなってしまう場合もあります。
とくに思春期は心も身体も発達段階です。体内に気が満ちていて、熱がこもりやすい状態にあります。そのため、ニキビもできやすいのです。
漢方では、まずそのこもってしまった過剰な熱を取ることを一番におこないます。
またニキビは、発生する場所や色、大きさなど状態によっていくつかのタイプに分けられます。
◆白いニキビ
額や眉間に出やすく、咳が出やすかったり、喉や鼻が乾燥しやすいなど呼吸器系のデリケートな人によく見られます。
それほど悪化はしませんが、数が多くでて2~3週間治らないことが多いようです。
これは、肺と皮膚に熱がこもっているせいなので、それを発散させる漢方薬やハーブティーを使います。
◆赤いニキビ
こめかみから耳の前に出やすく、辛い物が好きな人に多くみられます。
特に生理前後に出やすかったり、イライラとしてストレスが溜まりやすいという特徴もあります。
これは、血に熱がこもってしまったせいなので、血の熱をとる漢方薬を使います。
◆黄色いニキビ
白いニキビや赤いニキビが悪化して化膿したもの。
フェイスラインに沿って出やすく、肌はオイリー気味で脂っこいものやチョコレートが好きな人に多くみられます。
また便秘をしやすいという特徴もあります。
これは、皮膚や血、胃にも余分な熱がこもってしまっている状態なので、それらの熱と炎症、感染症(化膿)を体の中から追い出す漢方薬を使います。
◆紫のニキビ
口のまわりや顎、首、背中や胸に出やすく、芯がある硬いニキビは血のめぐりが悪い人に多くみられます。
生理痛があったり、婦人科系に何らかのトラブルを抱えている人も多いです。
これは、こもってしまった熱を取り除くだけでなく、不要な水を除いて血のめぐりを改善する漢方薬も使います。
また、婦人科系のトラブルがある場合にはそちらの対策も必要です。
ニキビのための養生法
食事は、脂っぽいものは控えて野菜中心のあっさりしたものに。
セロリやトマト、きゅうり、海藻などは身体の余分な熱を冷まし炎症を抑えてくれるので肌に炎症があるときはおすすめの食材です。
アルコール類は身体に熱を生み出し悪化させる原因になるので控えましょう。
飲み物は温かい緑茶がおすすめ
緑茶は、身体の余分な熱をとってくれるうえに、殺菌効果も期待できるのでニキビやアトピーの赤み・かゆみにお困りの方にはおすすめの飲み物なのです。
ただし、冷たいペットボトルの緑茶は内臓を冷やし過ぎてかえって皮膚のターンオーバーを遅くしてしまうので温かい緑茶が良いですよ。
夜は10~11時に就寝する
夜中の11時~2時は体を修復するホルモンがたくさん出るシンデレラタイムです。
その時間にしっかり眠っていると、ホルモンがたくさん出てニキビの治りも早くなるし、お肌もつるつる&ぴかぴかになります。
マスクが顔に当たりると、その刺激が肌の負担となりニキビができやすくなったり、治りにくくなったりします。
可能ならば、マスクの形や素材が違うものを着用して肌への刺激が少ないものを選んだり、家でマスクを外せるときは出来るだけ外して過ごすようにしましょう。
繰り返しできるニキビは改善するのに時間はかかりますが、食生活・生活習慣を見直して漢方で両面 からケアしてあげると健康なお肌を取り戻すことができるのです。
ニキビ・ 吹き出物 お悩みの方は、西山薬局にご相談ください。
漢方薬のこと・食事のこと・スキンケアの方法などアドバイスいたします。
【この記事を書いた人】
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
四代目 薬剤師 西條ゆみこ
漢方薬局に生まれ幼少期から生薬に囲まれて過ごす
大学生と中学生2児の母親
更年期障害真っ只中で漢方処方を日々研究中