体の不調は、先天的(遺伝的)要因、環境的要因、そして日頃の生活習慣。
いづれかの原因であると、古くから中国伝統医学では考えられております。
妊娠後の高血圧や尿糖に関しては家系的な因子もありますが、ご自分の体重管理や食事の管理ができていない方も多いです。
また、妊娠中の高血圧は単一の疾患ではなく、他にも血清クレアチニン上昇(腎障害)、血液濃縮、血小板減少、尿酸値上昇、むくみなどの症状を呈している場合がほとんどで「症候群」であります。
妊娠高血圧症候群(PIH)といい、昔は妊娠中毒症って言っておりました。
妊娠後の「尿糖」は糖尿病には至らない軽度のものですが、いづれにせよ放置しておくと母体にも赤ちゃんにも悪影響となりますので手を打っておきたいものですね。
古くから漢方薬では、六味地黄丸ベースの処方がファーストチョイス。
六味地黄丸は、滋陰益精の熟地黄、滋補肝腎の山茱萸、補気健脾の山薬、清熱涼血の牡丹皮、清熱利水のタクシャ、利水の茯苓と六つの生薬構成。
熟地黄と山茱萸と山薬で「三補」、牡丹皮とタクシャと茯苓で「三シャ」。
補う生薬三種と逆の効能を持つ三種の生薬で構成されています。
補うことと逆の効能を持つ生薬を使う理由は、補う効果を高めるためなんです。
漢方って不思議ですよね。
熟地黄・山薬・タクシャには血糖降下作用があり、山茱萸・タクシャ・牡丹皮の組み合わせは血圧降下作用に良い。
生薬六種類集まれば「六味地黄丸」という処方になり、適応症は幅広い。
専門書には「頭のふらつき、思考力減退、眩暈、耳鳴り、難聴、腰膝酸軟、口渇、喉の渇き、カラダの熱感、手のひら足の裏の火照り、寝汗、ED、オシッコのトラブル。その他無月経、経血過少、など」参考:中医処方解説
臨床応用としては、自律神経失調症、高血圧症、糖尿病、慢性腎炎、バセドー病、無排卵、無月経、過少月経、小児の発育不良まで幅広い使い方ができます。
このストライクゾーンの広い六味地黄丸に菊花(きっか)と枸杞の実をプラスした漢方処方があります。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)といいます。
菊花(菊の花)を加えることで、カラダの火照り感や熱感、炎症を低減。
そして枸杞の実で造血をテコ入れ。おまけにスマホを見過ぎた目の不快な症状にも良い。
暑い夏場なら、カラダは熱を抱えていて冷ましたいところですよね?
そしたら杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)を使うといいです。
六味地黄丸+菊花+枸杞の実=杞菊地黄丸
エキスタイプや小さい丸剤タイプより、効きが良い「ろう皮丸(ろうひがん)」のものをお勧めします。
【この記事を書いた人】
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
代表取締役社長 西條信義(梅安先生)
不妊カウンセラー、国際中医専門員、鍼灸師
漢方薬と鍼灸の二刀流でケアしております
趣味はバイクツーリング、焚き火、珈琲