昔は子宮筋腫、子宮内膜症、腺筋症といえば、出産を経験した方の病気でした。
ところが、20代の未婚の方でも増えているようで当店の漢方相談も増加傾向。
原因はいくつかあるようです。
食生活の欧米化、環境ホルモン、初婚年齢上昇、ストレス社会・・・
ごく小さな筋腫、内膜症であれば自覚症状がほとんどなく、婦人科検診でも経過観察となります。
しかし、生理の出血過多、重い生理痛、排便困難など症状が重くなると、将来の妊娠も心配になってきますよね。
これらの疾患に対して、病院ではホルモン療法や外科手術が行われます。
症状の重いものは、主治医の言う通り手術をされるのが賢明です。
なぜなら、ご自分の体に存在する女性ホルモン(エストロゲン)に依存して、少しずつ組織が大きくなるからです。
今、妊活中の方で、子宮筋腫、子宮内膜症、腺筋症、卵巣嚢腫など器質的疾患を抱えて頑張っていらっしゃる方は多く、なかなか陽性反応が出ず困っている方も多いのも事実。
痛みを無かったことにする鎮痛剤。
切れ味が良く頼ってしまいがちです。
しかし、ずっと飲んでいても病巣は変わっていない、そこにあるということを忘れないでください。
痛みは炎症。
着床の環境が炎症では、受精卵は着床しにくい(排除しようとする)。
また、大きな筋腫で子宮内膜に凹凸があっても着床がしにくいのです。
漢方の中医学ではどうやってケアするのか?
将来、不妊症となりうる子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、卵巣嚢腫など疾患は、血液の流れが停滞する「うっ血状態」。
中医学の症状でいう「瘀血(おけつ)」です。
週刊誌やテレビの漢方特集で「おけつ」って聞いたことありませんか?
瘀血(おけつ)は病理的産物と考え、月経のつらい諸症状の他、外傷、炎症、術後の損傷、出産、自律神経失調、免疫の異常、脳や心血管系の異常、寒冷暴露など種々の原因によって生じるものと考えられてきました。
主な症状は激しい疼痛(生理痛や腹痛)。
静脈のうっ血状態、生理の暗色の出血(血塊あり)、腫瘤(しこり)など。
瘀血(おけつ)体質を改善するには
瘀血体質に至るまでは、その方のライフスタイルも大きく関係しております。
日頃の食生活。
甘い物が好きで毎日間食していませんか?
ショートニング(トランス脂肪酸)、質の悪い常温で凝固する油、乳製品過剰で血液は粘り気を生じ流れが悪くなります。
ストレスだけでも血管は収縮して細くなります。
細い血管に必要な血液を流そうとするので、血圧は上昇し必要な物質は組織に届きにくく無いります。
ストレスも放置していては、様々な不調へとつながるのです。
漢方でのケアは、血液の粘りや質を改善する生薬が多い活血化瘀薬(かっけつかおやく)というカテゴリを使います。
サラサラとしたイメージ。
痛み全般、静脈のうっ血、、血腫、腫瘤といったものは活血化瘀薬(かっけつかおやく)が得意な分野。
ストレスが多いと交感神経が緊張して血管が細くなります。
常にストレスがあるような方でも血流が滞り瘀血(おけつ)体質になります。
これを気滞血瘀(きたいけつお)といいます。
ストレスで血流の悪い方は理気薬(りきやく)を併用します。
血液の量が足りていない場合も瘀血体質に。
これを血虚血瘀(けっきょけつお)といい血液の栄養状態の低下、生理の周期の遅れる方は血液が足りていないことになります。
このような場合は不足した血を補いながら、生理の時や排卵期は血液の巡りをスムーズにしてあげる処方を使うといいでしょう。
手足の冷えを伴う方は鹿茸やプラセンタなど動物系生薬を併用、手足のほてりを伴う方は滋陰清熱薬を併用されるとよいです。
元々、酷い生理痛に悩まされその時だけ、活血化瘀薬だけを服用される方もいらっしゃいます。
その際、前の月経周期に増殖した子宮内膜が生理と同時に大きな血塊を含む血液として、どっと流れ出ます。
一気に出血量が増えて気も消耗し、貧血になってしまいます。
血液は気を載せて全身を巡る(血載気行)ため、日頃から生理時に失う血液(100cc~150cc)で貧血にならないように、血液を造るサポートをする補血薬と補気薬両方の性質を持った気血双補の漢方も常に飲んでいたほうがいいですね。
気血両虚には気血双補の漢方。
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)第二類医薬品がおすすめです。
漢方を生活の一部にとりいれると「生理痛は無いのが当たり前」。
鎮痛剤に頼らない体質は、すなわち授かりやすい体質なんです。
【この記事を書いた人】
創業明治34年 漢方薬の西山薬局
代表取締役社長 西條信義(梅安先生)
不妊カウンセラー、国際中医専門員、鍼灸師
漢方薬と鍼灸の二刀流でケアしております
趣味はバイクツーリング、焚き火、珈琲