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Vol.001 気が付かないうちに進行する緑内障とは?

白内障や緑内障、加齢黄斑変性など視力障害につながる目の病気は、QOL(生活の質)に大きく影響します。

現在のところ一度発症してしまったら、症状が治り、視力を回復することが難しいとされています。

目の健康を守り深刻な眼病を予防して発症を遅らせることがとても大切です。

 

【緑内障(りょくないしょう)とは?】

緑内障は、眼圧が異常に高くなることによって視神経が圧迫されて、視野が狭くなったり欠けたりする病気です。

失明する場合もあり、日本で視力を失う病気の第一位と言われています。

 

瞳孔が緑色に見えるので「青そこひ」とも呼ばれています。

緑内障は進行がゆっくりなので、病気がかなり進行するまで気が付かない場合も多いようです。 

 

目を閉じて、まぶたの上から指で目に触れてみてください。

意外と眼球ってかたいですよね?

 

これは、眼球の中心部から外側に向けて、眼圧(眼球内の圧力)がかかっているためです。

眼圧は、眼球内の毛様体といわれる部分でつくられる房水という透明な液体によって決められます。

 

そして、目が最も良好に機能する状態に眼球の形を保っています。

血管のない角膜や水晶体など目の前半部分には、房水が栄養を送っています。 

 

ところが、何らかの原因によって、この房水が多くつくられたり、排出口が閉塞したり、目詰まりを起こしたりしてうまく排出されないで前眼房にたまると、眼球全体の眼圧が高くなり視神経乳頭を圧迫します。

 

視神経が集まっている視神経乳頭は眼圧に弱く、圧迫されると視神経の神経線維が切れてしまったり、血流が悪くなって視神経がだんだんと枯れて死んでいってしまいます。 

 

その結果、視神経の働きが損なわれて、視野が狭くなったり(視野狭窄)、視野が欠けたり(視野欠損)などの視野障害がおこります。

 

これが「緑内障」という病気です。 

 

放っておくと、障害された範囲が広がってついには視野がほとんど欠けて失明することもある怖い病気です。

緑内障は40歳代以上の中高年でよくみられます。

 

9割近くの方に自覚症状がないといわれ、日常生活に支障が出るまで気づかないこともあります。

一度欠けてしまった視野は元に戻りません。定期的な検査で早期発見・早期治療をすることが重要です。

 

緑内障は、房水の流れがどのように悪くなったのかによって次のような種類に分けられます。

 

【原発開放隅角緑内障】

房水の出口で、フィルターの役目をしている線維柱帯が徐々に目詰まりしてくると房水の水はけが悪くなり、眼圧が上昇します。

この原発開放隅角緑内障のなかには『眼圧が特に高くない緑内障』もあります。

これを正常眼圧緑内障といい、日本人に多いことが分かってきました。

 

また、開放隅角緑内障は、眼精疲労くらいしか自覚症状がないため何年も放置し、進行していくことが少なくありません。

 

【正常眼圧緑内障】

正常な眼圧の基準値は、一般に10~21㎜Hgとされています。眼圧が正常範囲にも関わらず視神経が障害されて緑内障が起こることがあります。

これを正常眼圧緑内障と呼びます。

 

全国的な調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり日本人に多いことがわかりました。なぜ眼圧が正常でも緑内障になるのか、その理由はわかっていません。この正常眼圧緑内障の発見には、眼圧検査のほかに、視野の検査が必要です。 

 

【原発閉塞隅角緑内障】

隅角が狭くなると、房水の排出口が塞がれてしまい、房水が目の外にうまく流れ出なくなってしまいます。そのため眼圧が上昇するものを、原発性閉塞隅角緑内障といいます。

慢性型と急性型があり、急性型の場合は眼痛、頭痛、吐き気、充血、急激な視力低下、ぼやけるなどの強烈な症状が出ます。

この場合は、早く治療を受けないと失明する恐れがあります。

 

【発達緑内障】

生まれつき眼内の水の流れ路が未発達であることから起こる緑内障です。

 

【続発緑内障】

外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。

 

緑内障になる原因は?

原因が完全には解明されていない緑内障ですが、危険因子として明らかになっているものに主に次のようなものがあります。

 

・家族歴

両親や兄弟姉妹など、家族に緑内障の人がいると緑内障になりやすいことがわかっています。緑内障は遺伝する可能性が高いと言えます。

・強度近視

原発開放隅角緑内障の方に、強い近視のある人が多い傾向があります。

・遠視

原発閉塞隅角緑内障の方に、遠視の人が多い傾向があります。

・ステロイドの使用歴が長い

ステロイド剤は、房水の排出口である繊維柱帯の目づまりを起こしやすくします。

・低血圧・冷え性・片頭痛

正常眼圧緑内障の発症には、血液の循環障害が関係しているとい言われています。低血圧・冷え性・片頭痛はいずれも血流の障害が関係して起こるものです。正常眼圧緑内障の人に多く見られる特徴です。

・高血圧・糖尿病

原発開放隅角緑内障で、眼圧が高いタイプの人には、糖血圧や糖尿病の人が多く見られます。また、高血圧や糖尿病があると、緑内障の進行が早まることがあります。

 

ほとんどが無症状の緑内障

緑内障は、ほとんその場合が無症状のため、本人が気が付かないうちにゆっくりと病気が進行していきます。一般に、視神経に障害が生じてから5~10年ほどたたないと視野が欠ける「視野欠損」は現れません。そして視野欠損自体も10~30年という間に徐々に進んでいきます。

 

そのため、 見え方が少し変わっても、その状況に慣れてしまい「視野が欠けてきた」と気が付いて受診したときには、すでに緑内障が進行していたということも珍しくないようです。

 

緑内障は中高年に多い病気です。

40歳を過ぎたら、2~3年に1回は、眼科で検診を受けましょう。

特に家族に緑内障の方がいる場合は、1年に1回は検査を受けたほうが安心です。

 

緑内障の治療

点眼液を中心とする薬物治療で眼圧を下げて視野障害の進行を抑えます。

でも、いったん障害された視神経は元に戻すことはできません。

 

緑内障の主な治療方法は「薬物療法」「レーザー治療」「手術療法」の3種類です。

どの治療法になるかは、緑内障のタイプによって異なります。

原発開放隅角緑内障では、点眼液を使った薬物療法が中心になります。

 

・房水がつくられるのを抑えて眼圧を下げる点眼薬

・房水の排出を促進して眼圧を下げる点眼薬

 

この2つのタイプを使い、眼圧をコントロールしていきます。

 

原発閉塞隅角緑内障では、レーザー治療が中心になります。

レーザで虹彩に小さな孔を開けて、房水の通り道を作り隅角を広げて、房水の排水がうまくいくようにします。薬物療法やレーザー治療を行っても眼圧が十分に下がらない場合には手術療法が行われます。

 

緑内障の漢方薬

漢方では直接眼圧を下げるというよりも、その他の体の不調などの全身症状を総合的に考えてバランスを整えていきます。体全体を整えることで、体も目も健康にして緑内障が進行しないようにしていきます。

 

房水の排出口にあるフィルターが目詰まりを起こす原発開放隅角緑内障は、加齢やストレスから肝の解毒作用が弱り老廃物が涙の中に増えてしまったと考えます。

 

この場合は、肝を丈夫にして老化を改善する「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」と

血の質と流れを改善する「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」を併用して、目詰まりを起こさないような体をつくっていきます。

 

房水の排出口が塞がれてしまう原発閉塞隅角緑内障は、体の水分代謝が上手くなったために、余分な水をため込んでしまったと考えます。

 

この場合は、うまく房水を排出させるようにしたり、体液が新たに眼球内に集まるのを防ぐ漢方薬や生薬を用います。

 

「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」「五苓散(ごれいさん)」「越脾加朮湯(えっぴかじゅつとう)」などの利水作用のある漢方薬と、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などの活血薬を組み合わせて使うことで目の血流と房水の代謝を改善します。

 

これらの漢方薬を症状・体質の合わせて用います。

緑内障は、漢方でもなかなか難治の病気ですが全身症状の改善をはかることで悪化を抑えることができます。

 

緑内障の食養生・生活養生

・睡眠をしっかりとる

睡眠時間が平均6時間以下になると視力が低下するといわれています。夜11時までには部屋を暗くしてスマホを見ないようにして、しっかりと睡眠をとりましょう。

 

・適度に運動する

肩こりと目の疲れは関連しています。適度な運動で血の巡りを良くして肩こりと目の疲れをとりましょう。

 

・紫外線対策をする

日頃から帽子やサングラスなどで紫外線対策をしましょう。UVカット機能が付いた薄い色のサングラスがおすすめです。色の濃いサングラス瞳孔が開き、紫外線を取り込みやすくなるのであまりおすすめできません。

 

・TVは見る時間を決める

テレビが発する紫外線は目の健康に影響します。テレビを見る時間はできれば1日3時間以内で、2メートル程離れてみましょう。

 

・タバコは控えて

タバコは血管を収縮させて、活性酸素を発生させます。受動喫煙でも影響があるとされています。

 

・お酒はほどほどに

お酒は「百薬の長」ですが、肝臓に負担がかからない程度にしましょう。中医学では「肝は目と密接に関係し、肝の不調は目に現れると考えられています。 

 

・カフェインも控えめに

カフェインを常用すると、交感神経の持続的な緊張状態をつくり、瞳孔を大きくするので、房水の流れを悪くして眼圧を上昇させると考えられます。

 

・目に良い食材を積極的に摂る

レバー、アワビ、人参、菊花、クコの実、桑の実、菊花、セロリ、パセリ、セリ、ミント、梅、かんきつ類、ほうれん草、かぼちゃ、にんじん、山芋、大豆、ブルーベリー、鶏肉など

 

緑内障は、失明の恐れのある怖い病気ですが早い段階で発見して適切な治療をすれば、進行を食い止めることができます。

40歳を過ぎたら検査を定期的に受けて早期発見のきっかけにしましょうね。

 

【この記事を書いた人】

創業明治34年 漢方薬の西山薬局

四代目 薬剤師 西條ゆみこ

 

漢方薬局に生まれ幼少期から生薬に囲まれて過ごす

大学生と中学生2児の母親

更年期障害真っ只中で漢方処方を日々研究中

 

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