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Vol.003 中医学の知恵で「不眠」を改善しよう

 

日本人の5人に1人、60代以上になると3人に1人が睡眠に何らかの問題を感じていると言われています。「不眠」は、それほど誰にとっても身近な症状なのです。不眠の状態が長く続くと心身のさまざまな不調にもつながるので、早めの対策で快眠体質をめざしましょう。

 

睡眠はなぜ大切なの? 

 

 一般的に、人が眠っている時間は人生の三分の一を占めるとされています。この長い睡眠の時間は、単なる心身の休息ではありません。近年の脳科学の研究では、睡眠は『脳の働きによって、脳のために営まれる積極的な休息活動』と捉えられています。

 

 具体的には、睡眠には「脳の老廃物の排出」「記憶の整理・定着」「ホルモンバランスの調整」「免疫力の向上」「身体組織の修復」といった働きがあります。このように、睡眠は私たちが健康に生きていく上で欠かすことのできない大切な役割を担っているのです。 

 

不眠症とは?

 

 睡眠には、眠りの深いノンレム睡眠と、眠りが浅くなって夢をみるレム睡眠とがあります。正常であれば、この2つの睡眠が組み合わさって約90分の睡眠周期をつくり、一晩で4~5回繰り返されます。

 

不眠症はこの睡眠パターンが乱れるもので、そのために慢性的な睡眠不足となり日常に支障をきたすようになります。

 

主な原因には

・騒音、明るさ、気温、湿度などの環境

・アルコールやカフェインなどの摂取

・時差ぼけや交代勤務などによる生活リズムの乱れ

・ストレスや神経症、うつなどの精神疾患

・高血圧や糖尿病、心疾患、前立腺肥大症などの病気

・腰痛、神経痛などの整形外科疾患

・アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患

・加齢(老人性睡眠障害)

などがあります。 

 

「不眠」の症状と中医学

 不眠には4つのタイプがあります。

・寝つきが悪い「入眠障害」

・夜中に2回以上目が覚める「中途覚醒」

・午前5時前に目が覚めてしまう「早朝覚醒」

・ぐっすり眠れたという満足感がない「熟眠障害」 

 

このような問題が一か月以上続き、倦怠感、意欲や集中力の低下、食欲不振といった不調が現れた場合は不眠症と考えて接触的に対処することが大切です。

 

中医学では、不眠の症状も体内のさまざまな不調によって引き起こされると考えます。主な要因となるので「ストレスによる肝の不調」「血の不足」「加齢による腎の虚弱」「消化不良」などです。

 

こうした不調を改善することで『眠りやすい体質』をつくり、薬だけに頼らす、質の良い睡眠を自然に摂ることが出来るよう対処していきます。 

 

タイプ別「不眠」対策

●ストレスで寝付けない「肝うつ」タイプ

「肝」はストレスを発散させ、体内の「気(エネルギー)」の巡りをコントロールしています。

そのため、過剰なストレスで肝の働きが落ちると、ストレスに上手く対処できず精神が不安定な状態に・・・。

 

また、気の巡りも滞ってしまうため、エネルギーが停滞して過剰な熱がこもってしまうこともあります。その結果、ストレスやイライラ、ほてりなどで、なかなか寝付けなくなってしまうのです。

 

このタイプは不眠の初期に多いので、症状に気がついたら早めに改善しましょう。日常のストレスはこまめに解消し、気の巡りをスムーズに保つよう心がけましょう。また、身体にこもった余分な熱を冷ますこともポイントです。 

 

【気になる症状】

寝つきが悪い(入眠障害)

イライラしやすい、怒りっぽい、憂うつ感、ほてり、喉の渇き、舌の乾燥など

 

【食養生】香りでストレスを発散させ、苦味・涼性の食材で熱を冷ます食材

菊花、ジャスミン、しそ、竹の子、ふきのとう、セロリ、菜の花、海藻類、牡蠣、粟、酢など

 

 【漢方薬】

逍遥顆粒、加味逍遙散、酸棗仁湯、柴胡加竜骨牡蠣湯など 

 

●睡眠が浅い「血不足」タイプ

中医学では「血」は『陰・静』の性質を持ち、精神を安定させる働きがあると考えます。

そのため、体内の血が十分にあれば気持ちが安定し、質の良い睡眠を摂ることが出来ます。

反対に、血が不足すると精神安定を起こしやすく、眠りが浅い、熟睡できないといった不眠の症状が起こりやすくなるのです。

 

月経中、産後、病後、貧血気味の人などは、血が不足しやすいので気をつけましょう。このタイプは不眠が慢性化することも多いので、日々の食事で栄養を十分に取り、血をしっかりと養いましょう。また『気は血を生む』と言われ、体内の「気(エネルギー)」も合わせて養うことも大切です。

 

【気になる症状】

夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、熟睡できない(熟眠障害)、眠りが浅い、夢が多い、不眠の慢性化

不安感、動悸、めまい、物忘れ、冷えなど

 

【食養生】温性で気血を補う食材

黒砂糖、竜眼肉、なつめ、クコの実、たまご、人参、ほうれん草、うなぎ、かつお、少量の赤ワインなど

 

【漢方薬】

心脾顆粒、婦宝当帰膠、天王補心丹、甘麦大棗湯など 

 

●早朝に目覚める「腎の虚弱」タイプ

歳をとって、早朝に目が覚めることが増えた・・・。

そんな「早期覚醒」の不眠に悩まされている人は「腎」の機能が弱くなっていると考えられます。

 

腎は人の成長や生殖に関わる臓器で、老化とも密接に関係する臓器です。

そのため腎の働きが低下すると、不眠や夜間頻尿、腰痛といった老化症状が起こりやすくなるのです。

 

腎の機能は加齢とともに自然と衰えていくため、中年以降の年代に入ったら積極的に養生することが大切です。過労や冷えは腎の大敵なので、きちんと休息をとる、身体をしっかり温めるなど日ごろのケアを心がけましょう。

 

【気になる症状】

早朝に目が覚めてしまう(早朝覚醒)

夜間頻尿、腰痛、耳鳴り、健忘、強い冷えなど

 

【食養生】温性で腎を補う食材

山芋、ハスの実、黒ゴマ、くるみ、羊肉、もち米、桑の実など

 

【漢方薬】

八味地黄丸、八仙丸、杞菊地黄丸、天王補心丹、瀉火補腎丸、桂枝加竜骨牡蛎湯など

 

●ムカムカして眠れない「消化不良」タイプ

暴飲暴食、遅い時間の食事などで「脾胃(胃腸)」に負担がかかると、消化不良を起こして長時間胃に食べ物が残った状態になります。すると、胃が重い、ムカムカするといった不調を感じ布団に入ってもなかなか寝付けなくなってしまうのです。

 

こうした症状は一時的なもので、消化不良が治れば不眠も解消されます。ただし、不摂生な食事が日常化すると消化不良も続き、慢性的な不眠につながることもあります。油断せず食生活をしっかり見直して脾胃の働きを整えることが大切です。

 

【気になる症状】

寝つきが悪い(入眠障害)

消化不良、膨満感、胃が重い、ゲップ、吐き気、お腹が張る、腹痛など

 

【食養生】消化を助け、脾胃の働きを整える食材

サンザシ、陳皮(ミカンの皮)、大葉、大根、プーアル茶、ウーロン茶など

 

【漢方薬】

温胆湯、勝湿顆粒、焦三仙など 

 

暮らしの養生で不眠症改善

・生活のリズムを整える『昼間は活動・夜は安静』

・15時以降はカフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶など)を控えハーブティーなどを

・夕食は早めの時間に摂る(食べ過ぎにも注意)

・入浴は就寝の1~2時間前に行い身体を温める

・寝つきはお酒に頼らない(眠りが浅くなり夜中に目覚めやすくなります)

・寝る時は部屋を暗くする

・布団に入ったらスマホは見ない

・朝、目が覚めたら朝日を浴びる(自律神経に作用して体内リズムを整えます) 

 

眠れる体をつくるには、日々のケアが大切です。

しっかり養生しましょうね。

【この記事を書いた人】

創業明治34年 漢方薬の西山薬局

四代目 薬剤師 西條ゆみこ

 

漢方薬局に生まれ幼少期から生薬に囲まれて過ごす

大学生と中学生2児の母親

更年期障害真っ只中で漢方処方を日々研究中

 

新潟市の漢方薬専門店


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